2008年02月28日

空白に落ちた男@ベニサン・ピット

引越し前で現実逃避ばかりしていたここ数週間。

火曜日、仕事帰りにベニサン・ピットで「空白に落ちた男」を見る。
この公演のことを偶然(仕事中にネットを徘徊していてw)見つけて、その日のうちに行ってしまった。こんな即断即決で舞台見に行ったの、久しぶりだわ。

なんで即断即決?
・・・・なぜなら「水と油」の小野寺修二とバレエダンサー首藤康之のコラボレーションだから!

「水と油」は2006年に活動休止したパフォーマンス集団。
パントマイムとダンスと演劇を絶妙にmixした作品は本当に面白かった(また見たい!)。そんな「水と油」を主宰していた小野寺(a.k.a.おのでらん)と首藤さんが一緒の舞台に立つなんて、これはもう面白くないわけがない。音楽はcoba。しかも劇場がベニサンピット。あんな狭い会場で見れる機会はそうないかもしれない。
・・・そう思ったらいてもたってもいられず、気がついたら会社帰りに都営新宿線乗ってた(笑)

さて感想。

凝った舞台装置、cobaの音楽、独立しているようで繋がっているそれぞれのシーン。何とも言えない不思議な世界が繰り広げられて、すごく良かった!
バレエでもなく、マイムでもなく、コンテンポラリーでもないパフォーマンスである、という点で「水と油」の作風にすごく近いと思った。

最近、踊りを観にいくと出演者の「上手さ」が逆に鼻につくようなことが多い。足をあげるのも回転もジャンプも、あくまで「技術」であって、それ自体を何度も見せられても出演者の自己満足と、振付者の怠慢にしか見えない・・・・というのは私が捻くれてるからかな?

でもこの舞台のように構成、表情や動き、演出がよく練られていて単純に「面白い!」って思えるものはすごく好き。見てて嬉しくなる。

以下、長いので「続き」へ。ベニサン・ピットはロビーにおいてある暖房が学校に置いてあったようなものだったり、古くて、懐かしい感じのする劇場。変な場所にあるから行くまでは億劫なんだけど、行くと「いいな」と思う。
そのベニサン・ピットの雰囲気にあわせたかのような今回の舞台装置。

舞台の枠は額縁のようだし、置かれた机や椅子、棚、汚れた鏡、なんだか全てがちょっとアンティーク調でヨーロッパっぽい。上演中、机や椅子が縦横無尽に動かされ、いろいろな場面を形作る。壁にも天井にも家具が置いてあるし、1つのタンスは階段に変わり、もう1つのタンスは本棚に変わり……
すごく緻密に動きとリンクして作られていて、感心した。

台詞は無し。ショートフィルムを見ているみたいに、短いストーリーが交錯し、繋がれていく。コミカルだったりシリアスだったり、シーン毎の絶妙な配分は流石で、不思議な空間を存分に楽しむことができた。

ときに客席に起こる笑い。言葉はなくても体ひとつでこんなに明確に伝えることができるんだなぁ。なんてことない動きに見える部分も、間の取り方、ピタッと合うタイミング・・・・単純に「すごい」と思う。

ただ。首藤さんは良くも悪くも浮いていたような。特に後半のソロ。
「え?ベジャール??」って感じ。ここにきてバレエやるか?みたいな。
きっとあそこは首藤ファンへのリップサービスでソロシーンを作り、且つ、首藤さん自身の振り付けなんだろーなー、と思った。たしかに、美しい肢体がしなやかに動くのを見るのは楽しいけれど、なんか、異物感。

完全な「主演・首藤康之」じゃなくてキャスト全員がほぼ対等なアンサンブルでそれぞれの個性を魅せていく、、、という舞台だったので、首藤さんの「きちんと感」に違和感を覚えたんだと思う。結局、他のキャストと首藤さんは体の言語が違うというか。
他のキャストは「演者」だったけど、首藤さんは「ダンサー」。
どれだけ崩そうとしても、やはり体に染み付いた様式美は取れないんだな、と。
それもまた個性ではあるけれど。

・・・・長くなったけど、そんな点も含めて面白い舞台でした。
「面白い」「面白い」連発してるけど、肝心な面白さについてはうまく伝えられないので、舞台は好きだけど見たことないって人はぜひ見てほしいなーと思った。
posted by め at 14:26| パリ ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | Theatre | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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